LoyalCoinはブロックチェーンを使って提携企業のロイヤリティ(ポイントカード)の統合化を目指すプロジェクトです。
LoyalCoinが普及すればするほど利用者にも提携店にも様々なメリットが生まれます。
LoyalCoinを主体とした経済圏が構築されていけば、楽天ポイントやTSUTAYAポイントのようにLoyalCoin自体がブランドとなり、さらに大きな経済を回すことができるようになってくるはずです。
ブロックチェーンは画期的な技術であり人々の生活を大きく変える可能性を持っていると言われていますが、実際に我々の生活に深く浸透するほど普及しているプロジェクトはまだ1つも存在しません。
そんな暗号通貨界隈において、多くの大企業と提携しているLoyalCoinは社会を支えるブロックチェーンプロジェクトの先駆けになる可能性を秘めていると僕は思っています。
当記事では「LoyalCoinって何なの?」ってところから、僕たち消費者や提携企業にどんなメリットがあるのかを説明すると共に、実際にどんな企業と提携しているのかをご紹介します。
LoyalCoinに興味を持ってくれる人が少しでも増えてくれることを期待します。
目次
LoyalCoinが目指すのは消費者への無駄のない還元
LoyalCoinはフィリピンのAppsolutely社が立ち上げたプロジェクトです。
ブロックチェーンを使って企業のロイヤリティを統合することで経済活動の活性化を図ります。ロイヤリティとは、平たく言えば「お客さんがまたお店に来店してくれるような仕組みを作ること」ですね。
ロイヤリティの代表例はポイントカードです。購入金額の一部をポイントとしてキャッシュバックさせることで、次回の来店時にポイントを代金がわりに使うことができます。
ポイントカードの課題
各企業がこぞって自社独自のポイントカードを発行すると、それぞれ使える仕組みが違ったり枚数が増えてしまったりで消費者としては管理が大変です。
ポイントが溜まりきらずに有効期限が過ぎる、家に忘れる、失くす、などなど色々な理由で結局使わないことって多くないですか?
消費者としては還元されたポイントを充分に使えないし、企業としては消費者に充分な価値を提供できてないし、どっちにとっても美味しくない状況って結構あると思います。
LoyalCoinが提案する解決策
こんな状況を打破するために、Appsolutely社はあらゆるポイントをいつでもどこでも使えるようにすることを目指しています。
具体的には、TSUTAYAポイントや楽天ポイントのように各ショップの垣根を超えて共用できる共通ポイントを発行します。
この共通ポイントのことをLoyalCoinと呼び、単位はLYLで表記されます。
「それなら楽天ポイントでいいじゃん」はごもっともな意見なのですが、LoyalCoinにはブロックチェーンならではの面白い特徴がいくつかあります。
消費者のメリット
LYLはAppsolutely社と提携している企業のサービスを利用することで獲得できます。
例えばフィリピンのとあるショップでは買い物の利用金額に応じたキャッシュバックとしてLYLをもらえますし、タイのとあるバス会社ではバスに乗車するだけでLYLがもらえます。
取得したLYLはもちろん買い物でも使えますし、イギリスのとある自転車ショップではLYLでの支払いなら10%の割引価格で購入できます。
LYLを取得してから使用するまでの全ての履歴はブロックチェーン上で管理されますので、第三者に改竄されることはありません。
LYLは換金できる
楽天やTSUTAYAと違う点として、LYLは家族や友人に自由に配ることもできますし、ビットコインやイーサリアムなど他の暗号通貨とトレードすることもできます。
ということは、ビットコインからさらに法定通貨に変えることももちろんできます。
つまり、獲得したLYLは必ずしも提携ショップで使う必要はなく、円やドルに換金することができるのです。
お店でポイントカードをもらったはいいものの、使い切らないまま捨てるなんて勿体無い。
自分が取得したLYLは必ず何かしらの形で自分に還元できるのが最大の特徴です。
提携店のメリット
提携店の立場で考えられるメリットはブランドへの相乗り効果です。
例えばTSUTAYAの提携店になればTポイントカードというブランドに相乗りでき、Tカードを持ってる人が来店してくれる可能性が高くなります。
LoyalCoinもそれと同じで、LYLが普及すればするほどLYL自身のブランド価値が高くなっていき、提携店にとっても大きなメリットになります。
実際にAppsolutely社と提携しているのはどんな企業なのか、LoyalCoinのホワイトペーパーを参考に後ほど説明していきます。
顧客を誘引するデータ分析機能を利用できる
また、LoyalCoinが提供するデータ分析機能を利用できるのも企業側の大きなメリットです。
LoyalCoinでは登録した消費者の来店日時や購入履歴などあらゆるデータを保管して分析することで、再訪問を促すための訴求アクションを起こすことができます。
例えば、
- よく買ってくれる人にいつもありがとうクーポンを贈ったり
- 誕生日におめでとうクーポンを贈ったり
- しばらく来店してない人にご機嫌いかがクーポンを贈ったり
- 久しぶりに来店してくれた人に顔見れて嬉しいよクーポンを送ったり
といったことが出来ます。
先月東京で開かれたNEMのミートアップでは、Appsolutely社のCEOであるパトリック氏がゲスト登壇者としてLoyalCoinをプレゼンしていましたが、このあたりの訴求機能は既存顧客に特に満足してもらっていると熱弁していました。
提携企業ラインナップ
さあ、ではその既存顧客とはどんな企業たちなのでしょうか。
LoyalCoinプロジェクトの成功のカギは、賛同する企業の数や規模が重要な要素となります。
どんなに面白い試みでも、使ってくれる人や企業がいなければ何の価値(実需)もありません。
公式のホワイトペーパーに既存顧客の一覧が紹介されていますので、各社を僕なりに色々調べてみました。
日本でも有名な企業であるスターバックス、TGIフライデー、デニーズ、ファミリーマートあたりは説明不要だと思いますので割愛します。
Petron
Petronはフィリピン最大の石油会社です。
1933年に創業され、今年で設立85年を迎えます。
同社のISO14001認定精製所では、原油をLPG(液化石油ガス)やガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、灯油、工業用燃料油、溶剤、アスファルトおよび混合キシレンを含むあらゆる種類の石油製品に加工しています。
全国ネットワークを通じ、様々な産業顧客に燃料油、ディーゼル、LPGを供給しています。
主要空港でジェット燃料を国内外の航空会社に供給しているほか、1200以上のサービスステーションを通じてガソリン、ディーゼル、灯油を運転者や公共交通機関の運営者に販売しています。
また、広範なディーラーネットワークを通じて、LPGブランドGasulを家庭や他の消費者に販売しています。
出典:wikipedia
BENCH/
BENCH/はフィリピンの小売ブランドです。
1987年に設立され、男性用のTシャツを販売する小さな店舗として事業を開始しました。
その後、有力なエンドユーザー、テレビ、巨大な広告掲示板の使用の先駆者となり、比類のない料金で高品質の製品を手頃な価格で提供するファッションブランドにまで成長しました。
BENCH/は男性用服飾品の第1位から、レディースライン、下着、香水、家庭用品、スナック、その他幅広い生活製品まで取り扱っています。フィリピンだけでなく、アメリカや中東や中国など世界規模のネットワークを構築しています。
出典:BENCH/会社概要
UNILAB
UNILABはフィリピン最大の製薬会社です。
70年以上にわたり「信頼できる品質」のヘルスケア製品やサービスをフィリピン国内で提供し続けています。全ての人が手頃な価格で買える高品質な製品を生産することを掲げ、フィリピン国内で最も大きな処方箋や店頭ブランドなど一貫した市場シェアを有しています。
日本との絡みでは、東証1部上場企業であるニプロ社の子会社にあたるニプロファーマ社が2014年にUNILAB社と業務提携しています。
ニプロファーマ社としては、同社が日本国内で製造する医薬品をUNILAB社を通じてフィリピンで販売することで、フィリピンを皮切りにアジア市場への医薬品販売戦略を展開していきたい意向のようです。
American Eagle Outfitters
American Eagle Outfittersはアメリカのカジュアルファッションブランドです。
90年代初め、オハイオ州出身のスコッテンスタイン・ファミリーの経営のもと、AEOは高品質でトレンド性があり、かつお手頃な価格で提供するブランドとして発展してきました。
今や15歳から35歳の男女をターゲットとしたAEOと、18歳から25歳の女性をターゲットとしたAerieと共にブランドのポートフォリオとなっています。
AEOは世界中に1,000店舗以上展開しており、30,000人の従業員がいます。
2001年にカナダへの出店を皮切りに海外展開をスタートし、2010年に中東諸国、2011年には香港・中国、ロシア、2012年にはイスラエル、日本へ出店を拡大しました。
今後も世界中の国々への出店を予定しており、アメリカ同様のコンセプト、コレクションを展開することによって、アメリカの店舗で味わえるようなショッピング体験を世界中に届ける方針です。
AEOは1994年にNASDAQに上場し、2007年にはNY証券取引所に上場しました。
著しい成長と利益を上げるとともに、ライフスタイルブランドとしての確固たる地位を築き現在に至ります。
出典:AEO会社概要
COTTON:ON
COTTON:ONは、衣料品等を販売するオーストラリアのチェーンストアです。
1991年に、オーストラリアのビクトリア州の都市に最初の小売店舗をオープンし、現在では世界7つのブランドと19カ国にまたがる1400以上の店舗を展開するまでに成長しました。
オーストラリアを代表するグローバルファッションブランドの1つとして、必要な時に、必要な時に、適切な価格で顧客に希望のトレンドを提供することを徹底的に追求しています。
Bonchon
Bonchonは韓国のフライドチキンのフランチャイズチェーン店です。
2002年に韓国の釜山で開業し、現在ではアジア、中東、アメリカ大陸を中心として270店舗ほどにグローバル展開しています。
そのうち約半分である140店舗ほどがフィリピンでチェーン展開されています。
出典:wikipedia
BUFFALO WILD WINGS
BUFFALO WILD WINGSはカジュアルダイニングレストランのフランチャイズチェーン店です。
カナダ、メキシコ、フィリピン、UAE、サウジアラビア、オマーン、インドなど世界におよそ1238の拠点(同社が直接所有している625社、フランチャイズ店舗は612社)があります。
レストランには50以上のテレビとメディアスクリーンが隣接するバーエリアとパティオの席があるオープンレイアウトが特徴です。
2016年以降、新しいレストランが建設され、実際にスポーツスタジアムにいるかのような感覚をゲストに提供する新しいタイプのレイアウトが採用されています。
出典:wikipedia
Midas
Midasはカジノを併設したフィリピンのホテルです。
詳しい情報見つけられませんでしたが、リゾート地であるマニラのカジノホテルってことなので景気は良さそうな印象です。
GONG CHA
GONG CHAは台湾茶のフランチャイズチェーン店です。
2006年に創業され、2017年1月時点で全世界1400店舗に展開されています。
リンク先もそうですがどうやら日本にも出店しているようです。
出典:GONG CHA会社概要
まとめ
後半バテてしまったのでこのへんで切り上げます。
今回調べてみて僕も初めて知りましたが、Appsolutely社は多くのグローバル企業と提携しているようですね。
今後、これらの企業でLoyalCoinが使われだした場合、LoyalCoinの知名度は瞬く間に跳ね上がるのではないかと思っています。
ちなみにLoyalCoinは元々イーサリアムベースで開発されていましたが、昨年からNEMベースのブロックチェーンに鞍替えしました。
パトリック氏はその理由としてNEMミートアップで以下のように語っていました。
「イサーリアムでは秒間15のトランザクションしか捌けずパフォーマンスが悪い」
「カタパルト実装後のNEMなら秒間4000捌けるのでハイパフォーマンスが期待できる」
たしかに世界中に展開される数万のショップから発生するトランザクションを秒間15で捌くのはちょっと無理がありそうですね。。。
電子決済大手のPaypalが秒間100くらい、VISAカードが秒間3000くらいだったでしょうか。
そう考えるとNEMの4000というのは(本当に4000を出せるなら)なかなか期待が持てる数字です。
コインチェックのおかげで良くも悪くも世間に注目されているNEMですが、ブロックチェーン技術としては充分実用に耐えうるものだということをLoyalCoinによって証明してもらいたいと思っています。