もしあなたが以下の3つ全てに該当するエンジニアであれば、今すぐにでも転職をオススメします。
- 客先常駐型のエンジニアとして働いている
- 案件の途中で契約を切られることがほとんどない
- 自分の待遇に不満を感じている
僕はサーバエンジニアとして過去に4回転職して、今はフリーランスで仕事しています。僕の経験上、年収を上げる一番手っ取り早い方法は環境を変えることです。
負の下請け連鎖がはびこる日本のIT業界では、エンジニアの給料は「エンジニアのスキル」ではなく「どの会社に所属しているか」で決まってしまうのが実情です。全く同じ仕事でも、一次請けと三次請けでは自社に入ってくる売上は全然違いますし、当然三次請けのほうが中間搾取される回数が多いので売上も下がり給料も小さくなってしまいます。
なので、下層の下請け企業に所属してるエンジニアは、上層に転職するだけで簡単に年収を上げることができます。
おそらく、上記3つの条件全てに当てはまるような人は、プロパの要求に応えられるだけの経験値を持っているのに、二次請け以下の会社で働いているせいで給料が低い人たちなのではないでしょうか。どんなに仕事ができる人でも、お勤め先の会社がそれに見合うだけの給与を支払うことができなければ、昇給など望めません。そこで転職というアクションが必要になってくるわけです。
ということで、この記事では客先常駐エンジニアの年収と転職の関係についてご説明します。
エンジニアの転職に学歴は関係ない
エンジニアは実務経験が全てですので、客先からすぐに契約を打ち切られてしまうような低スキルでもない限り、転職は比較的簡単にできる業界です。
一般的な就職・転職の価値観で言うと「どうせ学歴が必要なんじゃないの」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。僕自身、高卒ですが実際に4回転職できています。
IT業界に入ったのは25才の時、これは異業種からの未経験入社で1回目の転職でしたが、それから33歳で独立するまでの8年間でさらに3回転職をしました。最後に転職したのは31の時ですが、30代の高卒でも普通に転職できました。
もちろん、求人の応募要件で大卒以上と書かれてる場合はどうしようもないですが、そうでなければ基本的にエンジニアの転職に学歴は関係ありません。重要なのはエンジニアとしての実務経験です。
今の会社で年収を50万円上げるのに何年かかりますか?
今の会社で年収を50万円上げるのにあと何年かかるかを考えてみてください。待遇の良い会社であれば、ほんの数年で達成できるかもしれませんが、待遇の悪い会社だとどうでしょうか。
毎年の昇給額は微々たるもの、ひどければ昇給制度自体が存在しない、サービス残業が横行してる等々、労働者としてはあまり嬉しくない企業が多いのもIT業界の特徴です。もしかしたら50万上げるのに10年以上かかる会社だってあるかもしれません。
今の給与プラス50万円の希望給で転職するのに何年かかりますか?
では今度は「今の年収プラス50万円」を希望給として転職活動を始めた場合に、採用をもらうまでに何年かかるかを想像してみてください。
おそらく待遇の悪い会社で働いているエンジニアにとっては、こちらのほうが遥かに現実的な時間で達成できるのではないでしょうか。待遇が悪いということは、それだけ伸び代が期待できるということです。
転職経験のない方はイメージしにくいかもしれませんが、先ほど書いた通りIT業界の転職は決して難しいことではありません。待遇が悪い会社に在籍しているのなら、待遇が普通の会社に移ればいいだけなんです。
50万円の年収アップに10年もかかるような会社でストレスを抱え続けるよりも、希望給を払ってくれる会社を早いうちに見つけて早いうちに転職してしまう方が精神的にも経済的にもずっと自分の為になると思いませんか。
より金を出してくれる会社に自分を売れ
つまり、年収を上げる一番手っ取り早い方法とは、金を出す気のない会社にはとっとと見切りを付けて、より金を出してくれる会社に自分を売りに行くことです。
これは何もエンジニアに限ったことではありません。商売ってなんでもそうですよね。わかりやすい例がオークション。あっちの人よりこっちの人の方が1円でも高く買ってくれるなら、高値で買い取ってくれる人に売ったほうが儲かるに決まってます。
まさに、それをやってるのがIT派遣会社なんです。未経験者を20万前後の安値で雇い、まずは先輩エンジニアとセットで現場に常駐させて経験を積ませる。数ヶ月ほど経験を積ませたら、セット契約から単体契約への契約変更を打診する、断られたら他の案件に切り替える。
IT派遣会社はこうやって従業員の給料はそのままに、売上を向上させようと積極的に利ざやを狙いに行っているんですね。真っ当な方法で商売するならいいですけど、ブラック企業なんかだと研修でサラッとしか触ったことのないJavaを「実務経験5年」とか勝手にスキルシートに書かれて面談に行かされるわけです。
つまり、転職するしないに関わらず、客先常駐エンジニアを続けてる限りは、結局色んな企業の案件に面談をしに行くわけですよね。それで無事に次の案件が決まったとしても、自分の給料が上がるわけではありません。これって単純に勿体無いと思いませんか。
エンジニア自身に気付いて欲しいのですが、案件をこなせてる時点で自分自身には間違いなく市場価値があるんです。それにも関わらず、なぜか二次請け三次請けの企業に甘んじてるエンジニアが多い現状は不思議で仕方ありません。
あなたの給料が安い本当の理由は、あなたの持つ商品価値をあなた自身が安売りしてるからではないでしょうか。
自分の商品を知れ
他の企業に自分をより高く買ってもらうためには、自分の商品価値を上げる必要があります。客先常駐エンジニアにとっての商品とは「エンジニアとしての実務経験」です。
客先は、ビジネス上の課題を何かしら抱えており、その課題をITで解決する方法を模索しています。課題を解決するために技術的な提案を行うことがエンジニアの生業です。
ですので、繰り返しになりますが、エンジニアの転職で最も重要なのは実務経験なんです。学歴は関係ありません。もしかしたら年齢はちょっと関係するかもしれませんが、それより何より実務経験です。
実務経験と聞くと難しく考えてしまいがちですが、要は普段の自分の業務を滞りなくこなせているのであればそれで充分なんです。なぜなら、現にあなたの常駐先は、あなたのエンジニアとしての経験を得るために、あなたの会社に対して(もしくはより上層の元請けの会社に対して)、あなたの給料以上の契約料を支払ってるわけですからね。
自分の市場価値を知れ
特に首都圏で年収200万〜300万円台前半のエンジニアはもっと貪欲になるべきです。頻繁に契約を切られるレベルなら商品価値相応の給料なのかも知れませんが、継続して案件をこなせるレベルでその年収はハッキリ言って安すぎです。きっとそういう方々はご自身の市場価値を知らずに安く買い叩かれてるんです。
自分の単価がいくらなのか把握していますか?
自分の常駐先は、自分と契約するためにいくら支払ってるのでしょうか。二次請け三次請けの金額ではなく、重要なのは一次請けの金額です。一次請けの金額こそが、自分の本当の市場価格です。
そして自分は自社から給料をいくらもらっているでしょうか。一次受けの金額と自分の手元に給料として入ってくる金額の差額はいくらでしょうか。その差額は、イコール自分で自分を安売りした金額です。
そしてその差額は、多重下請けの中層に存在する中抜き業者に全て差し出している形となります。その業者たち、本当に必要なんでしょうか。
自社(派遣元の会社)がエンジニアの案件単価を公表しない理由
自社がエンジニアの単価を隠すのは、エンジニアを割安のまま雇い続けたいと思っているからです。会社としてはエンジニアに気付かれたら困るんですよ。
「自分はこれだけの売上を出してるんだからもっと給料を上げてくれ」なんて言われると面倒ですし、「もしかしたら他の会社に転職した方が稼げるのかも知れないぞ」なんて気付かれて転職されてしまうと売上が減ってしまいます。
- 自分が年間いくらの売上を上げているのか
- そのうちいくらが給料として自分に還元されているのか
もしあなたが普段からこういう不満や疑問を感じながら仕事をしているのであれば、その不満は曖昧にせず、もっと積極的に情報を取りに行くべきです。少なくとも、こういう情報を隠している企業はエンジニアを正当に評価する気など毛頭ありません。
待遇の悪い企業は自社の従業員を「社内価値」でこそ評価しますが、エンジニアとしての「市場価値」では絶対に評価しません。社内価値とは給料、市場価値とは案件単価のことです。給料は自社の財源の範囲内でしか決められないため、一次請けの案件単価よりも必ず低くなります。
客先常駐エンジニアが給料を上げるために必要なアクションは2つ。自分の市場価値を上げることと、社内価値を高く評価してくれる会社に籍を置くことです。
自分の市場価値を知る方法
では、どうすれば自分の市場価値を知ることができるのでしょうか。現場での人間関係次第ではプロパから単価を聞くこともできるかも知れませんが、なかなか聞きにくいですよね。
そこで、頼りになるのがIT専門の転職エージェント(企業と求職者のマッチングサービス)です。エージェントは、企業が求める人物像と求職者が求める企業像を照らし合わせ、両者の間に立って条件のすり合わせや面接の日程調整など行い、最終的に採用が得られるまでの支援をしてくれます。
転職エージェントを利用することで、自分の市場価値を把握し、自分の希望に合う企業を見つけやすくなります。また今後のキャリアプランの検討など、高めるべき市場価値を方向性についても相談に乗ってくれます。
無事に採用が決まると、仲介料として転職先の企業からエージェントに対して成果報酬が支払われるので、求職者であるエンジニア側は完全無料で利用できるのも嬉しいところです。
IT専門の転職エージェントの強み
IT専門の転職エージェントなら、数多くのエンジニアと企業をマッチングさせてきた実績があるので、IT市場の動向を充分に把握しています。
過去の実務経験を伝えれば、その案件がどの程度の単価なのか大体の相場を教えてくれますし、スキルシートの見直しや面談の指導はもちろん、紹介先の企業についての詳しい情報も教えてもらえます。
エージェントの立場で言えば、紹介先の企業は顧客に当たりますので、先方の担当者とも事前に面識があるんです。自分一人で転職活動をすると手探りであれこれ動かなければなりませんが、エージェントが間に入ることで転職を有利に進めることができるようになります。
「自分はエンジニアとしてどのくらいのレベルにいるのか」
「今後どの方向に進めば良いのか」
「転職先の企業の実情はどんな感じなのか」
このような悩みを抱えているエンジニアをサポートしてくれるのがエージェントです。もちろん、実務経験を裏付けるだけの技術や知識を身につけるのは他でもないエンジニア本人ですが、その商品価値をより良く見せるためにエージェントの利用するのは、転職活動を進めるうえで充分有効な手段です。
オススメの転職支援サービス
実際に僕が利用したことのある転職サービスを3件紹介しますので参考にしてみてください。もし少しでも興味が沸いたら、webからすぐに面談の申し込みもできるので、実際に話を聞きに行ってみるのが良いと思います。
レバテックキャリア
首都圏でフリーランスへの転向を考えたことがある人なら「レバテック」という単語にはピンとくるかもしれません。レバテックは、元々はフリーランスエンジニア向けの営業支援サービスでした。
会員専用のポータルサイトで案件の概要や単価など必要な情報が公開されていますし、担当の営業が付いて転職先と条件のすり合わせなど代行してくれるので、僕も現在進行形でフリーランスとして大変お世話になっています。
そのレバテックから派生して、正社員向けの転職支援サービスとして立ち上げられたのが
プログラミング言語や運用ツールなど専門知識を持って技術的な会話ができる営業が多いので、スキルシートをより良く見せるようブラッシュアップしたり、今後のキャリアプランを一緒に検討してくれるなど非常に頼りになる存在です。
右から左に求人情報を流すだけのハリボテ営業ではなく、専門知識を有した営業がエンジニアの希望に沿うようにサポートしてくれるので、転職をお考えの方には自信を持ってオススメできるサービスです。
TechClipsエージェント
TechClipsエージェント
サービス内容としては基本的にレバテックキャリアと同じなんですが、TechClipsの最大の特徴は「現役エンジニアがサポートしてくれる」という点です。レバテックキャリアと比較して、より現場を意識した話し合いができるので、同業者ならではの目線から転職を支援してくれます。
年収500万円以上を狙える「高待遇」な求人情報が多いので、もしかしたら少し敷居を高く感じるかもしれませんが、実際500万という数字はそこまで大きいものではありません。
確かに下請けの給料事情としては大きい数字かもしれませんが、それは途中で中抜きが何度も発生するようなビジネスに頼ってる企業の金銭感覚です。
充分な利益が見込めるビジネスを展開している企業にとっては、エンジニアに支払う500万円の給与は決して高いものではありません。なぜなら、その金額はビジネスをより昇華させるための投資と考えられているからです。
自分の中で勝手に苦手意識を作って萎縮してしまうとそれだけで損なので、面談ではこれまでの経験を堂々と伝えて、自分が企業に貢献できることは何か、自分がこれからどうなっていきたいのか、ハッキリと信念を持って対等に話をすることが大切です。
というような話を僕の担当さんはしてくれたので、あまり気負いせずに面談に臨むことができました。精神的な部分でも支えてもらえたので感謝してます。
リクナビNEXT
最後に、エージェントではないですが秀逸な転職支援サイトであるリクナビNEXT
リクナビNEXTは求人のマッチングサイトですので、「企業」と「求職者」の双方が会員登録して利用します。企業は求人広告と自社の情報を掲載し、求職者は自分のプロフィールを掲載しますので、求人の申込み前からお互いのことを知ることができます。(もちろん不特定多数に公開されるわけではないのでプライバシーは保護されます)
つまり求職者が企業を探すのと同様に、企業側も求職者を探してオファーをかけてきてくれるんです。転職活動といえば自分から自発的に動かなければいけないイメージがありますが、リクナビNEXTなら企業の方からも積極的に動いてくれるので、自分では気付きもしなかった企業の求人情報を視野に入れることができます。会員登録してプロフィールを書いておくだけでオファーメールが届くので、後はその中から良い条件の求人を探すだけです。
ちなみに、僕が最後に転職した企業は、このリクナビNEXTのプライベートオファー(個別のスカウト)がキッカケで入社を決めました。元々その会社は非ITのエージェント事業を展開していたのですが、新規にIT派遣業も始めるということで、その初期メンバーとしてアサインされた形です。
僕は当時31歳だったと思いますが、決してエンジニアとして特別なキャリアがあったわけではありません。普通に客先常駐として数年の実務経験があっただけなんですが、それが人事の目には「安定した売上が期待できる」と映ったようです。ちなみにオファーをもらった立場ですので、給与交渉もgoodでした。
ですので、企業は必ずしも若い人ばかりを欲しがるわけではありません。企業が欲しいのは事業に貢献してくれる人です。
まとめ
IT業界の特徴をまとめるとこんな感じです。
- 多重下請けが常態化している
- 中請けのピンハネにより下請け企業ほど売上が小さくなる
- 結果として、下層の下請け企業に勤めていると給料も低くなる
- どの階層にいてもエンジニアの担当する仕事自体は同じ
- 一次請け案件を取ってこれる企業に転職するだけで簡単に給料が上がる
- エンジニアの価値=実務経験なので、数年の稼働実績があるなら転職しやすい
僕自身、この業界に入って3年目までは年収250万未満でした。残業代なんて当然のように出ませんでしたし、当時の僕は他の会社の内部事情とか知りもしなかったので、それが当たり前だと思ってたくらいです。今となっては笑って話せるようになりましたが、あの頃は将来への不安しかなかったですね。
何度も転職してきた経験があるからこそ言えますが、今働いてるその会社が全てではありません。世の中にはもっと働きやすく、もっと給与還元してくれる会社がたくさんあります。愚痴を言う時間を少し減らしてみて、浮いた時間で転職のために少しずつでも動いてみると、数年後には全く違う人生が開けてくるはずです。
少子高齢化により、IT業界はこれから長期的な人材不足に陥ります。間違いなくエンジニアにとって有利な売り手市場に突入していきますので、ご自身の市場価値を上げて良い待遇を得られるよう、積極的な転職活動をオススメします。