中小企業退職金共済制度(中退共制度)とは、独力では退職金制度を設けることが難しい中小企業が、国の助成を受けながら設けられる退職金制度です。中退共制度で退職金を積み立てている場合、退職金は会社ではなく中退共へ請求する必要があります。
この記事では、中退共への退職金の請求手続きについてまとめています。
「退職金共済手帳」を会社から受け取る
まずは会社から退職金共済手帳を受け取ります。
これは在職中に退職金をどれだけ積み立てているのかを記録した手帳です。
これがなければ請求手続きが行えませんので、離職票など退職時に会社から発行される書類と一緒に必ず受け取ってください。
「退職金(解約手当金)請求書」への記入・押印
請求書には、本人、金融機関、会社の3者による記入・押印が必要です。
自分で記入・押印するもの
退職金共済手帳の3枚目に「退職金(解約手当金)請求書」が同封されています。
そこに自分の住所や振込先口座など必要事項を記入してください。
押印欄は、給付金額が300万円を超える場合は実印で、300万円未満なら認印で構いません。
記入例は公式サイトに掲載されてるので参考にしてください。
http://www.chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-07/pdf/seikyu_kinyurei.pdf
金融機関に押印してもらうもの
ちょっと面倒なのが「金融機関記入欄」です。
その名の通りここは金融機関に押印してもらう必要があるので、退職金の振込先となる金融機関の窓口に行って押してもらってください。
窓口で「退職金の請求手続きのために金融機関印を押してほしい」と言えば伝わるはずです。
なお、振込先口座の支店まで行く必要はありませんので、最寄りの支店の窓口へ行くのが簡単でしょう。
会社に記入・押印してもらうもの
請求書の右側の「共済契約者記入欄」は会社に記入してもらう必要があります。
もしここに何も書かれていなかったり、社印が押されていなかったりすると、
審査で跳ねられるので必ず会社側に対応してもらってください。
添付書類の確認
請求書は本人確認書類を同封した上で中退共へ送付します。
給付金額により送付する本人確認書類は異なります。
給付金額が300万円未満の場合
本人確認書類 | 住民票又は印鑑証明書 1通(発行日から3か月以内、コピーでないもの) |
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マイナンバー制度における確認書類 | 以下の①を1点、または②③を1点ずつ
①個人番号カードの両面写し 1通 |
給付金額が300万円以上の場合
本人確認書類 | 印鑑証明書 1通(請求書に実印の押印、発行日から3か月以内、コピーでないもの) |
---|---|
マイナンバー制度における確認書類 | 以下の①を1点、または②③を1点ずつ
①個人番号カードの両面写し 1通 |
「退職金(解約手当金)請求書」の送付
必要な書類が揃ったので中退共へ送付します。
宛先は以下の通りです。
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〒170-8055
東京都豊島区東池袋1丁目24番1号
独立行政法人
勤労者退職金共済機構
中小企業退職金共済事業本部
給付業務部 行
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送付後、通常なら約1ヶ月ほど審査に時間を要します。
ただし、書類に不備があると再記入など追加の手続きが必要になるので
そのぶん遅れてしまいます。
退職金の受け取り
審査結果が問題なければ、振込予定日の2週間ほど前に「退職金等振込通知書」というハガキが送られてきます。
ハガキには支払い明細と振込予定日が書かれています。
同時に、会社にも「退職金等支払のお知らせ」が発送され、請求人(自分)に支払う退職金等の支払金額・振込予定日が知らされます。
退職金請求手続きのまとめ
まとめると以下のような流れです。
- 会社に共済手帳を発行してもらう(請求書の事業所欄を記入してもらう)
- 最寄りの金融機関で金融機関印を押してもらう
- 自分の記入欄、押印欄も不備のないよう記入する
- 本人確認書類を用意する
- 必要書類をまとめて送付する
余談:退職を会社に伝える時期には注意を払いましょう
最後に余談ですが、個人的に一番気をつけたほうがいいと思うのは「会社に退職を伝える時期」です。
これは自分の経験談で、見事に会社にしてやられてしまったのですが、退職日を伝える時期が早すぎると、退職日前に会社が積み立てをやめる可能性があります。
僕の場合、12月末で退職する旨をその年の4月には伝えていたのですが、退職後にいざ共済手帳を見てみると、9月以降は退職金が積み立てられていませんでした。
会社としては辞める人間に不要なコストをかけたくないという思惑なんでしょうか。
残念ではありますがこういうケースもあるようですので皆さんはお気をつけください。。